プロの手になる寓話


デッドマン・ウォーキング』1995年/ティム・ロビンス監督
ロビンスが私生活のパートナーでもあるスーザン・サランドンとともに死刑廃止の運動家であることを知らなければ、存置派、少なくとも「論憲」派が手懸けた映画と思ったかも なにせ囚人が執行間際になって初めて真相を告白し、その罪と向き合うという筋なのだから ルイジアナで起きた「悲劇」をしんと描いた作品


『39 刑法第三十九条』1999年/森田芳光監督
テレビ鑑賞の機会もあったが未見 理由は公開当時目にした監督へのインタビュー記事にある 樹木希林演じる髪も服装も地味な弁護士が、口紅だけ派手に引いているのは、彼女の内心(監督が考える人権派弁護士の内心である)を表現したものだと話していた これでは内容も推して知るべし(レビューを見る限り掛け離れてはいなかった模様) 内心の前に目立ちがり屋とかさらにひどい形容があったのだが、ちょっと忘れた 既製品のスーツとノーメイクでスクリーンに出るのは、女優としては辛く、冒険だったと答えたサランドンのインタビューを思い出す


このアンケートは知らなんだ うーむむ 多寡や趨勢を考慮すれば、負け組みとなってしまうのかな 自分は気にしなさ過ぎて、世捨て人になりかけているのかもだ(トウェイン、ヴォネガットといった希代のユーモリストが、そろって晩年は厭世家として過ごしたことに慰みを見出すぐらいまで逃避しているのかもしれん)
 ○○で人生を変えられたとか熱弁を振るわれると(アルジャーノンではかつて賛辞を収録しただけの本まで刊行された)、口をとがらせたくなるわけですが、新規の缶ビールを手に取るほどの気軽さで 事後の満足感も缶ビール一本分程度だと思ってくれれば
『マックたち』1999年/テリー・ビッスン
ハヤカワの『90年代SF傑作選』下巻トップに収録されています ストーリーとか題材とか、まったく前知識なしで読むのに適した作品があるので(つまりこのエントリで知ったあなたは残念)、アンソロジーをよく選びます この短編はSFマガジン掲載時に読み、文庫でも再読できた その際は物語をなぜかシンプソンズのキャラ風にイメージしながら読んだのを覚えている