婉曲なトラックバック その三


 ページからリンク先の労作記事を含め、読ませてもらってつらつらーと
「ぼくが目を閉じると世界は瓦解する」(ちなみに”私を見て、私を感じて、そして世界は崩壊する”と要約し、元少女作家たちを批評したのは島田雅彦だった)
 この着想を取り込んだ小説の初読みはフレドリック・ブラウンのミステリ 『ナイン・ストーリーズ』の一編とか、このテーマを好んだPKディックの諸作品、そのディックにインスパイア(?)されたキングの『ランゴリアーズ』といった有名どころではなく、ここではちょっとマイナーなS-Fマガジン掲載作と、このテーマの雄編とも称すべきラファティの小説を

『芸術鑑賞短期コース』(1988/ポール・ディ・フィリポ)は、摂取すればフェルメール、スーラの視覚で世界を眺められるというドラッグの話 冒険譚というかコントですね 同工異曲で、美術史家が嵩じてゴッホの苦悩世界を追体験してしまうというホラーもあった――デイヴィッド・マレル『オレンジは苦悩、ブルーは狂気』

『他人の目』(1960年/R・A・ラファティ) 研究所シリーズのスラップスティックもの 知覚を自在に移し変える装置の顛末は措いておいて(ネタバレするともったいないので)、ラファティという人は幼少から世界史読本を愛読していて、オッカムが生き延びる多元世界を描いた作品(われらかくシャルルマーニュを悩ませり)の他にも、歴史の素養が(忠実にではなく、創作の素材として)著作のそこかしこに顔を出す ヴォネガットは青年期に親戚の勧めで読んだシンクレア、ドライザー等の社会派小説に影響を受けたというし、チャンドラーは古典に親しみ、人間形成として古典教育を主張していた まあ早熟というか幼年期の耽読、乱読が悪影響をもたらしたと評される作家もいたけど(ラヴクラフトだったかな? ワーズワースかコールリッジだったかもしれん) 「映画は人生を豊かにするが、読書は人生を破壊する」とかいう映画のセリフもあったのだが忘れた クリストファー・ウォーケンデニス・ホッパーなんだけど、『トゥルー・ロマンス』じゃなかったと思う(もうボロボロw) とにかく自分自身は翻訳を通じ――元電気機器の入札担当、レーガンも宣伝に努めた企業の広報マン、失業した石油会社役員といった人たちがものにした小説によって整えられてきたんだなあと あはは
 スタトレのガジェットの中では、翻訳機はホログラムデッキと並んで神の領域とされている(なにせファーストコンタクトした異星人にも通用するメカなのだからね)
 ああ、ぐだぐだになりすぎたのでこれまで