世界十三小説〜異色ミステリ編


「世十本」というタグが楽しそうだったので ミステリーらしく”13”でいこう ナル本格の海外中短編、異色作で絞り込みました 結果、英米(とSF)に偏り、また現代作家にも疎く1934年が生年のエリスンが最若となってしまった(ラストの女子学生は不明)

『告げ口心臓』ポオ
 ※『マリー・ロジェの謎』と迷うがより短い方を

『アウル・クリーク橋の一事件』ビアス
 ※定番だし

『二人の友』モーパッサン
 ※ヘミングウェイの『殺人者たち』より怖かった

『マークハイム』R・L・スティーヴンスン
 ※『自殺クラブ』でも良かったけど、モームに敬意を表して

『五十年後』コナン・ドイル
 ※『甲虫採集家』と迷う 『皮の漏斗』はヒッチコックがテレビ用に映像化していた Oヘンリーの『二十年後』と併せて

『青いホテル』スティーヴン・クレイン注)
 ※やや幻覚、陶酔系ですが、いわゆるひとつのークライム・ストーリーとしてですねえ

『柳の並木道』シンクレア・ルイス
 ※ノックスの十戒を華麗にすり抜ける まあ、十戒の十年前、1918年発表作品なのだが

『ある恋の物語』ジョン・コリア
 ※『アウル・クリーク橋の一事件』とよく似たトリック(技法)が使われている

『ごきげん目盛り』アルフレッド・ベスター
 ※こんなのを混ぜておけばちょっと格好が良い

『くじ』シャーリイ・ジャクスン
 ※『背教者』が鶏と犬しか死にそうにない作品なので

『われら被購入者』フレデリック・ポール
 ※SF短編十傑でも挙げるぐらい

『森の景色』フラナリー・オコナー
 ※『善良な田舎者』とか、候補はいくつかあるが『秘義と習俗』と併せて

『おれには口がない、それでもおれは叫ぶ』ハーラン・エリスン
 ※エドガー賞の『ソフト・モンキー』ではなくヒューゴ賞受賞作を選んだ

『Man Gehorcht』レスリー・アン・ブラウンリッグ
 ※・・・とはいってもランク内にエドガー賞が一つも入らない注)のも寂しいので、最後の十三番は幻の受賞作を もちろん自分も未読 申し訳ないので後日談というほどではないが、それに類した作品を付記しておく――『月の光』W・ハイデンフェルト(この作者も充分謎の人物だけど)


あとづけといいわけその1
 メルヴィルの『バートルビー』やジーン・リースの「あいつらのジャズ」なんて良さげだが、ミステリーで括るには薄く、逆にグリーンやケイン、チャンドラーらは正統派すぎて選から外した クリスティの『終りなき夜に生れつく』、レンデル『ロウフィールド館の惨劇』、パット・マガーの倒叙カポーティ『冷血』やデイヴィス・グラッブ『狩人の夜』など、特異で、ベストに相応しい良品だけどすべて長編、チェスタトンのポンド氏、ウッドハウスジーヴスものは一編に絞りきれず泣く泣く 
『二十』にしてくれるならプラス七作で、デイモン・ラニアン『レモン・ドロップ・キッド』、ウールリッチ『一滴の血』、ディクスン・カー『山羊の影』、ロイ・ヴィカーズ『老女の深情け(選集)』、ジョン・W・キャンベル・ジュニア『影が行く』、エドワード・ウェレン『マウスピース 』、デズモンド・コーリイ『ある魔術師の物語』といったあたり 「三十」にしてもらえるとジョン・バカン『三十九階段 』、Fブラウン『まっ白な嘘(選集)』、ダフネ・デュ・モーリア『アリバイ』、スタンリイ・エリン・・・ちょっと卑怯ですねw

あとづけといいわけその2
 例えば小説の年150冊読破を選者の条件にされてしまうと、もう学究か職業、それか物語以外は新聞も新書も読まず、再読は一切せず、遠距離通勤族かつ併読、速読の使い手でなきゃ務まらないのじゃないのかと心配になる 或いはS・キングいうところの「ばっちい生活」を送らなきゃいけないのかと 半可通の泣き言でしょか どうなのでしょか ええ、ダブリンを舞台にした物語を読むより、アイルランド旅行がしたかったんです 羨ましかったんです

あとづけといいわけその3(23日追記)
http://b.hatena.ne.jp/entry/http://d.hatena.ne.jp/yomoyomo/20071022/juudai
 あちゃー、ヴォネガットそれほど人気あったのか モンキーハウスから一編選んでおくべきだったのかもしれない でも、思弁(SFといったら叱られそう)色が濃かったのですよぅ
http://b.hatena.ne.jp/entry/http://d.hatena.ne.jp/idiotape/20071022/1193069154
 ううむ、ホーソーン渋いなー 作家をポオ生誕以降の人物に区切ったのと、サスペンスというよりホラーホラーのラヴクラフトを外した手前・・・イヤ、選者がサム・ホーソーンの方がまだ詳しいというのが実情なのかも とほほ
http://d.hatena.ne.jp/ryoto/20071022#p1
 あちゃちゃちゃー、二十編でもかまわなかったみたいです


注意(24日追記)
 ジョン・コリアは『ある恋の物語(Special Delivery)』を収録するコレクション ”Fancies and Goodnights”により、1952年度のエドガー賞短編部門を受賞していました まったくお恥ずかしいです 13番のオチもぐずぐずです やはりコリアは迂闊に手を出せば火傷する、難しい代物だったです
注意(26日追記)
 どうにも胸がつかえ、クレイン(1871年生まれ)IN、コリア(1901?年生まれ)OUTの処置となりました こんな時の為にリザーブしていたクレインですが、ガーレンクラスです 咬ませ犬じゃございませぬ