堕ちる猫


 ドナルド・バーセルミ作の"The Falling Dog" 彫刻家の若者が歩行中、ビルの窓から降下してきた犬にぶつかり、その体験をきっかけに、落ちる(墜ちていく)犬の製作を考える 彼は「落ちる犬」の着意がアイデアに果てるか、それともイメージであるかを検討する もちろんこの求解はバーセルミ自身の芸術論ではないだろうし、魂の深遠、創作の真髄を説いた小説でもない 本編は愉しいコントです(そういえばヴォネガットバーセルミに辛らつなコメントをしていた) ただ、自分はアイデア/イメージの鑑賞法、結構使わせてもらっている 「アシモフのこれはワンアイデア・ストーリーだよなあ」とか、「この芸人のネタ、思い付き並べてるだけじゃんかー」とかね
で、http://alfalfa.livedoor.biz/archives/51252321.html
 二番目の長毛の敷物(ムートン?)に寝そべった猫、もし目を閉じていたらただのアイデアなめ猫とか、猫鍋とか、白毛猫のクリーム煮とかの類)に終わり、すうっと開いているからこそ、イメージ(飛躍と創造)たり得る作品になったと自分は考えたのですが、どうでしょか?


 ちなみに、過去に読んだ最もイメージ(詩情)豊かな猫短編は、タニス・リーの『顔には花、足には刺』でした