余禄の余禄BD、或いは500マイルの彼方へ

http://togetter.com/li/113215のブックマークと
いくつかまとめたhttp://h.hatena.ne.jp/d-ff/225882353252080546を再掲、加筆したもの


R・A・ラファティ

子供たちが駅舎の時計、カウベル、叔母さんのマイセン、インディアン墓地から掘り出した白骨等で水分子の居心地をいささか悪くする装置をこしらえる。陶磁の壷はフィナーレで末娘が叩き割る為の演出用。

 出典はもちろん『恐怖の7日間』 品物には『地球礁』の影響もあったかと思う


フィリップ・K・ディック

現場に佇むのはカサンドラのように神経質、カレン・カーペンターなみに細長く痩せこけた能力者の娘。「こんなはずじゃなかったのに!」悲鳴を上げ、娘が両手で顔を覆った瞬間、地上より昇った蒸気の渦が彼女を包む。後に娘はエッシャーのだまし絵のような”ピジョン”に囲まれていたという証言が出る。

『この卑しい地上に』 あとがきかなにかで、自分はファンタジーの書き手としては優秀だったと語っていたような? ピジョンはビジョンのしゃれです 


ヴォネガット(は小話の方がよさそう)

「所長! 良いニュースと悪いニュースが。火星人が敷地内に出現し、作業員全員が防塵服ごと食われました。消防も一人やられたようで……」
「なんてこった、野蛮人どもめ……いったい良いニュースなんてあるものかね?」
「はい、やつらはデザートに燃料棒を欲しがります。お行儀もよく、食後のゲップもなしです」

『追憶のハルマゲドン』に収録されていたジョーク 元ネタはホームレスを貪る宇宙人の小便はガソリンでしたという話


スティーヴン・キング

年老いた男が現れ一切の混乱を収拾するものの、膨大な報酬を支払わなければならない。叩き上げのゼネコン社長が一計を案じ、積み上げたバレル(設置作業中の事故で中学教師が死ぬ)で老人を消し炭にする。めでたし。

 これは特に思い浮かべた作品はなかった 強いて挙げれば『セル』、『スタンド』、『ニードフル・シングス』あたり キングは「知らないことは書かない」を実践する作家で、悪霊退治も魔法瓶に封印したり、暖房の圧力弁を操作したり、あちこちからガソリンを集めたりして済ませる 主に活躍するのも一財産築いた有閑階級(つまり自分自身)だ ちなみにダン・シモンズなら悪魔の裏をかくのは良家の娘だろう


筒井康隆

トンネルが掘られ、選抜隊(斥候)が下っていく。フロイトトムキンス効果により、三人の相貌は、猿、豚、河童にメタモルフォーゼ、暗路は生温かな女体回廊と化し彼らの行程を阻むが――人声いずこ鳴くほととぎす、駆けつけた天皇念仏踊りで窮地を脱す。

 筒井作品は省略でいいかしらん


アーシュラ・K・ル=グウィン

雑木からつぶてが投げ込まれる。次第に数を増し、小雨となってプラントに降り注ぐ。飛来した木の実は瞬時に発芽し、放射状に根を張る。軍が森を掃射、雨だれは止む。こっそり持ち帰った科学者が、「パラドックスな」場を生起させる機能を備えていると見当をつける。まさしくこの実こそが「アンシブル」、星域間即時通信の萌芽であった。凍える救助隊は星の海で迷う。

 こちらも念頭に置いた作品名が挙げづらい 『世界の合言葉は森』、『内海の漁師』とか……別のアプローチもできたと思うが、ちょっと疲れて流れた


ロイス・マクマスター・ビジョルド

デンダリィ傭兵隊がラペリング、対処行動にあたる。マイルズ自身はハッチに足を掛けたところで懇願、説得されて艇内に残り、部下のバイタルチェックに専念した。オペレーションは完了したが、隊員の多くがヴォルコシガン一族が統治する村で余生を送る次第となる。彼の地を「養老院」と揶揄した新入りが半獣タウラに殴られる。

 こちらも省略 シリーズは『メモリー』以来読んでないが(いろいろ失望してもうた)、どうなってるのだろう?


togetterではジョン・スコルジーのやつがシンプルでよかった、笑った
「BD」は、ライヴエイドLIVE AID)で一番感動的だったスピーチはアメリカの農民たちの窮状を訴える彼のそれだった、とも言われたボブ・ディランのこと